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「伝えた」と「伝わった」、同じだと思い込んでいませんか?

最近、自分も年寄りと呼ばれる年齢に、少しずつ近づいてきました。
だからこそ、自戒の念を込めて書いておきたい話があります。

人は年を取っていくと、頑固になったり、意固地になったりすることがあります。
本人にそのつもりはなくても、周りからすると、ちょっと接するのが難しい人に見えてしまう。
そんな場面を、最近よく目にするようになりました。

「その言い方はないだろう」で大喧嘩した兄弟

私の知り合いに、年配の兄弟がいます。
もともとぶっきらぼうな話し方をする人たちですが、基本的にはとても仲が良い間柄。
長年、お互いを支え合ってきた関係です。

ところが先日、ちょっとした言い方が原因で、大喧嘩になってしまいました。

言った側の言い分は、こうです。
「この言い方で、そんな受け取り方をするのはおかしい」

受けた側の言い分は、まったく逆。
「そんな言い方をされたら、失礼なことを言われたと受け取るしかないだろう」

お互いに、自分の感覚が100%正しいと思っています。
だから、どちらも一歩も引きません。
この喧嘩、実はまだ続いているのです。

はたから見ていると、どちらの気持ちも分かります。
でも、当人同士は「自分の普通」を疑えない。
そこが、こじれてしまった原因なのだと思います。

「常識で考えれば分かるでしょ」が口癖の人

別の年配の方には、また違った特徴があります。
その人の口癖は、「普通はこうでしょ」「常識で考えれば分かるでしょ」。

会話のあちこちに、この手の言葉が出てきます。
でも、よく聞いていると、その「普通」や「常識」は、世間一般のものとは限りません。
その人や、ごく近しい人たちの間だけで通る当たり前。
それを、まるで世界共通の認識のように話すのです。

実際、別の家に行けば、まったくそんなことはなかったりします。
「うちでは当たり前」が、よその家では「初めて聞いた」だったりするもの。
靴を脱ぐ場所、お茶の出し方、お正月の過ごし方。
家庭ごとに、いくらでも「普通」は違っています。

カレーの肉が牛か豚か、というだけで論争になる。
味噌汁の具、目玉焼きにかける調味料、お雑煮の中身。
これらに「全国共通の正解」がないことは、誰もが知っているはずです。
それなのに、自分の家のやり方を「常識」と呼んでしまう。
人は、それくらい自分の「普通」に縛られている生き物なのです。

それなのに、自分の「普通」を絶対のものさしにしてしまう。
これは、年齢に関係なく、誰にでも起こり得る落とし穴なのです。

長くやってきたことほど、「常識」だと思い込む

なぜ、こういうことが起きるのでしょうか。

ひとつの理由は、「長年やってきたことは、常識である」という思い込みだと思います。
同じやり方を何十年も続けていれば、それが自分にとっての当たり前になります。
当たり前が体に染みついて、もはや疑う対象ですらなくなる。

そうなると、別のやり方をしている人を見たときに、こう感じてしまうのです。
「なんで、こんな普通のことが分からないんだ」と。

でも、その「普通」は、あくまで自分の世界の中での普通でしかありません。
自分が思っている普通は、他の人からすれば、まったく普通ではない。
このシンプルな事実を、人はつい忘れてしまいます。

年を重ねるほど、経験が増えるほど、この思い込みは強くなりがち。
だからこそ、自戒の念を込めて、書いておきたかったのです。

立場が違えば、「普通」はもっとすれ違う

この「普通のすれ違い」は、仕事の場面でさらに大きくなります。
とくに、受注者側と発注者側のように、立場が違う相手とのやりとり。
ここでは、もっと注意が必要です。

例えば、私たちのようなウェブ制作の仕事。
業界の人間にとっては当たり前の言葉が、たくさんあります。
ドメイン、サーバー、CMS、レスポンシブ、SEO。
口にする側は、何の説明もいらないと思っています。

でも、ウェブにあまり詳しくないお客様からすれば、どれも未知の言葉。
「分かるでしょう」という前提で話を進められても、頭の中は「?」でいっぱいです。
聞き返すのも気が引けて、分からないまま話だけが進んでいく。
そんな経験をした方も、多いのではないでしょうか。

これは、ウェブ業界に限った話ではありません。
医療の現場、法律の相談、住宅のリフォーム、車の修理。
専門家がいる場所には、どこでも同じすれ違いが潜んでいます。
お医者さんに専門用語で説明され、うなずくしかなかった経験。
そういう「分かったふり」を、誰しも一度はしているはずです。

そして恐ろしいのは、専門家側にその自覚がないこと。
本人は親切に説明しているつもりでも、相手には半分も届いていない。
「伝えた」と「伝わった」の間には、大きな溝があるのです。

これは、お客様が悪いわけでも、私たちが悪いわけでもありません。
ただ、お互いの「普通」が違っているだけ。
そのズレに気づかないまま話すと、すれ違いが生まれてしまうのです。

伝える責任は、いつも「伝える側」にある

ここで大切にしたい考え方があります。
それは、「伝わらないのは、伝える側の責任」だということ。

「これくらい分かるだろう」と思った時点で、すでに危険信号。
相手が分からなかったとき、「理解できない相手が悪い」と考えてしまうと、そこで話は止まります。
そうではなく、「自分の伝え方が、相手に合っていなかったかも」と考える。
この姿勢ひとつで、コミュニケーションは大きく変わります。

専門用語を、かみ砕いた言葉に置き換える。
たとえ話を使って、イメージしやすくする。
図やイラストを添えて、目で見て分かるようにする。
こうした工夫は、相手のためであると同時に、自分の仕事を前に進めるためでもあるのです。

ウェブの発信こそ、「相手の普通」に合わせる

この話は、そのままウェブでの情報発信にもつながります。

自社のサイトを作るとき、書き手はその業界のプロです。
だから、つい自分の「普通」で文章を書いてしまいます。
専門用語を並べ、説明を省き、「分かるでしょう」という前提で進めてしまう。

でも、サイトを見ているのは、その業界の外にいるお客様。
書き手の「普通」と、読み手の「普通」は、まったく違います。
そのズレを埋めないまま発信しても、メッセージは届きません。

相手に通じやすい言葉で、メッセージを組み立てる。
当たり前のようでいて、これがいちばん難しい部分でもあります。
なぜなら、自分の「普通」は、自分では気づきにくいから。
頑固になったり意固地になったりする前に、いちど立ち止まって考えたいところです。

「自分の普通は、相手の普通ではないかもしれない」。
この一言を、いつも心の片隅に置いておく。
年齢に関係なく、これがいい仕事といい人間関係をつくる土台になると、私は思っています。


自社のサイトの言葉、お客様にちゃんと届いているでしょうか。
「専門用語が多すぎないか」「説明を省きすぎていないか」。
気になり始めたら、それは見直しのタイミングかもしれません。

コモウェブでは、お客様の目線に立ったサイトの言葉づくりや、伝わる文章への見直しをお手伝いしています。
「自分では当たり前すぎて、どこが分かりにくいのか分からない」。
そんな段階のご相談こそ、大歓迎です。
まずはお気軽に、お声がけください。

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