今日は、自分の恥ずかしい過去の話をします。
若い頃にやらかした、苦い失敗談。
でも、ここには商売の大事な教訓が詰まっていると思うので、書いておきます。
雲の上の業界人から、仕事を頼まれた
当時の僕は、まだ若造のアマチュアバンドマンでした。
音楽で食べていきたくて、バンド活動に明け暮れる毎日。
ホームページ制作は、あくまでお小遣い稼ぎ程度のサブの仕事でした。
そんなある日、業界の中堅どころの方から声がかかります。
僕からすれば、雲の上の存在。
同年代なら誰もが知っているアーティストたちと、ふつうに仕事をしている人でした。
さらに、そのビジネスパートナーは有名作詞家。
これまた、みんなが知っている曲をいくつも手がけている方。
この2人が、新しくアイドルグループをつくるというのです。
「ぜひ協力してほしい」と。
舞い上がらないわけがありません。
僕は二つ返事で、話を聞きに行きました。
「全部で1万円でよろしくね☆」
打ち合わせで提示されたのは、オフィシャルサイトの制作。
5ページくらいの、シンプルな構成のサイトでした。
「才能あふれるこの子たちを、プロの僕らがプロデュースする」
「だから、必ず軌道に乗るよ」
そう熱く語る、業界人たち。
僕はその勢いに、すっかり飲まれていました。
そして、肝心の制作費。
出てきた言葉が、これです。
「全部で1万円でよろしくね☆ニッコリ」。
今思えば、自分の価値をとんでもなく下げてしまう安値。
5ページくらいのサイトを1万円。
どう考えても、割に合いません。
でも、当時の僕は引き受けてしまいました。
なぜか。
そこには、自分なりの思惑があったからです。
「いつか引っ張り上げてもらえる」という下心
正直に告白します。
僕が安値で引き受けたのは、純粋な善意からではありませんでした。
この人たちと仲良くなりたい。
そうすれば、自分のバンドを引っ張り上げてもらえるかもしれない。
他の業界人とも、つないでもらえるかもしれない。
そんな下心が、しっかりありました。
「今は安くても、将来への投資だ」。
そう自分に言い聞かせて、1万円の仕事を受けたのです。
夢への近道を、買ったつもりでいました。
若い頃の、よくある勘違い。
でも、この判断が、後で自分の首を絞めることになります。
今になって分かるのは、安請け合いには必ずツケが回るということ。
安く受けた仕事ほど、こちらの気持ちにも「これだけしか、もらってないし」という甘えが生まれます。
発注側も、安いぶん遠慮なく要望を重ねてくる。
最初の金額設定が、その後のすべてを決めてしまうのです。
そして僕は「飛んだ」
制作を進めるうちに、案件はだんだん雲行きが怪しくなっていきました。
細かい揉め事が、いくつも続いたのです。
仕様の認識がずれる。
要望がどんどん増えていく。
それでも、もらえるお金は1万円のまま。
「こんなタダ働き、もう嫌だ」。
そう思った僕は、最低の選択をします。
連絡を断ち、その案件から逃げ出してしまったのです。
フリーランスの世界でいう、「飛んだ」という状態。
発注主との連絡を絶って、仕事を放り出してしまうこと。
業界では、いちばんやってはいけないとされる行為です。
価格も内容も、事前に聞いた上で引き受けた仕事。
それを途中で投げ出してしまった。
これは、今でも自分の汚点だと思っています。
※ちなみに僕が飛んだのはこの1度のみです 笑
逃げた本当の原因は、「交渉力のなさ」だった
時間が経って、冷静に振り返ってみました。
そして気づいたのです。
あの揉め事の根っこには、自分の「交渉力のなさ」があったのだと。
そもそも僕は、条件提示がまったくできていませんでした。
「1万円なら、ここまでです」
「これ以上は追加料金がかかります」
「超格安でやるので、僕のバンドを業界の方に紹介してください」
こうした線引きや希望を、最初に一切伝えていなかったのです。
なぜ伝えなかったのか。
日本人にありがちな、「察してもらおう」という考えがあったからです。
「これくらい言わなくても分かってくれるだろう」。
「常識的に考えれば、追加は別料金だよね」。
そんなふうに、相手の善意に甘えていました。
でも、相手は察してくれません。
言葉にしなければ、伝わらないのです。
「察してください」では、相手は動けない
このときの失敗から、僕は大切なことを学びました。
「察してください」という態度では、相手は次の行動が分からないということ。
こちらが何も言わなければ、相手は好きに解釈します。
「1万円で、無制限に直してもらえる」と思う人もいるでしょう。
それは、相手が悪いわけではありません。
条件を伝えなかった、こちらの落ち度なのです。
ビジネスは、お互いが納得して初めて成り立ちます。
発注側は、サービスという価値を手に入れる。
受注側は、その対価を受け取る。
双方にメリットがあって、はじめて健全な取引です。
その健全な取引を成立させるために、欠かせないものがあります。
それが、はっきりした「条件提示」なのです。
まっとうな売り手は、必ず「オファー」と「CTA」を入れる
商売がうまい人を観察すると、ある共通点に気づきます。
それは、交渉の中に2つの要素を必ず入れていること。
ひとつめは、条件提示。
いわゆる「オファー」です。
「この内容を、この金額で、この期間でご提供します」。
中身と価格を、あいまいにせず、はっきり示します。
ふたつめは、行動の促し。
いわゆる「CTA」です。
「ご興味があれば、まずはこちらからお問い合わせください」。
相手が次に何をすればいいのかを、きちんと指し示すのです。
この2つがあると、相手は迷いません。
「何が、いくらで、どう頼めばいいのか」が、ひと目で分かるから。
逆に、これがないと、相手は動きようがないのです。
当時の僕に、決定的に欠けていた視点でした。
ここで誤解しないでほしいのは、条件提示は冷たい行為ではないということ。
むしろ、相手を迷わせない、やさしさでもあります。
あいまいなまま進めて、あとで揉めるほうが、よほど不親切。
最初にきちんと線を引くことが、お互いを守る結果につながるのです。
僕があの日、勇気を出して「1万円ならここまでです」と言えていたら。
きっと、揉め事も起きず、逃げ出すこともなかったはず。
たった一言の条件提示が、なかったばかりに。
そう思うと、今でも悔やまれてなりません。
あなたの会社のサイトは、「自己紹介」で終わっていませんか?
ここで、ぜひ自社のサイトを見直してほしいのです。
「うちは、こんな会社です」
「こういう事業をやっています」
サイトが、この自己紹介だけで終わっていませんか?
これは、当時の僕とまったく同じ状態です。
「察してください」と言っているのと、何も変わりません。
会社の説明はあるのに、肝心の「で、どうすればいいの?」がない。
これでは、せっかく訪れたお客様も、そっと帰ってしまいます。
必要なのは、明確なオファーと、CTA。
「こんなお悩みを、この内容で解決します」という提案。
「まずは無料でご相談ください」という、次の一歩の案内。
このひと押しがあるかないかで、サイトの成果は大きく変わってきます。
僕はかつて、それができずに仕事から逃げました。
だからこそ、声を大にして言いたいのです。
伝えるべきことは、ちゃんと言葉にしましょう、と。
あなたの会社のサイト、自己紹介だけで終わっていませんか?
お客様に「次に何をしてほしいか」、ちゃんと伝えられているでしょうか。
コモウェブでは、ただ会社を紹介するだけのサイトから、きちんとお客様の行動につながるサイトへの見直しをお手伝いしています。
「うちのサイト、なんだか反応がないな」。
そう感じていたら、それは見直しのサインかもしれません。
まずはお気軽に、お声がけください。