僕は趣味でギターを弾いています。
ライブをするわけでも、誰かに聴かせるわけでもなく、仕事の合間にぽろぽろと音を出す程度です。
その程度のものでも、ある一つの出来事が子どもの態度を変えました。
子どもはずっとギターに無関心でした。
横で弾いていても目も向けず、楽器の話をしても反応ゼロ。
それが「あつまれ どうぶつの森」のBGMを一曲弾いてみせただけで、急にやる気になったのです。
この話には、ウェブの設計や導線づくりに通じるものがあります。
音楽で食っていこうとしていたころの話
若いころ、本気で音楽を仕事にしようと思っていた時期がありました。
バンドを組んで、スタジオに入って、ライブをして、という毎日です。
「これで食っていく」という気持ちと、現実との板挟みが交互にやってきていました。
周りにも似たような気持ちを持つ仲間がいましたが、少しずつ道が分かれていきました。
誰かが別の仕事に就いて、誰かが引越して、バンドとしての動きが鈍くなっていきます。
特に大きな衝突があったわけでもなく、ゆっくりと空気が変わっていく感じでした。
あるタイミングで、音楽そのものが嫌いになってしまいました。
練習が苦痛になり、仲間と演奏することも楽しめなくなっていきます。
結局バンドを辞めることにして、楽器もほぼすべて手放しました。
ギター1本だけ残して、あとは処分してしまったほどです。
時間が経って、ギターが息抜きになった
バンドを辞めてから、しばらくギターにはほとんど触れませんでした。
「音楽が好きだった自分」というものが、遠い過去の話のように感じていました。
ギターケースを目に入れないように、部屋の隅に立てかけたまま置いていたくらいです。
それがゆっくりと変わってきたのは、生活の余裕が少し出てきたころのことです。
別に上手くなりたいわけでも、人に聴かせたいわけでもなく、ただ触りたいと思う気持ちが戻ってきました。
好きなフレーズをゆっくり弾く時間が、仕事の合間の小さな息抜きになっていきます。
かつて義務のように感じていた練習が、今は誰にも評価されない静かな楽しみです。
同じギターでも、向き合い方が変わると感じ方もずいぶん変わるものだと思います。
子どもはずっとギターに無関心だった
うちの子どもたちはずっと、ギターのことを「お父さんの謎の趣味」として扱っていました。
横で弾いていても目も向けず、楽器そのものに全く興味がない様子でした。
「ちょっと弾いてみる?」と声をかけたこともありましたが、乗り気にはなりませんでした。
一度興味を持たせようとして簡単なコードを教えようとしたところ、あっさり飽きて別の部屋に行ってしまいました。
無理に弾かせようとは思っていませんでした。
ただ、まったく視界に入っていないというのは、少し寂しい気もしていました。
何か接点があればと思いつつも、特に手を打つわけでもなく時間だけが経っていました。
あつ森の曲を一曲弾いてみた
ある日、子どもが「あつまれ どうぶつの森」をプレイしているのを横で見ていました。
ゲームのBGMのおなじみのメロディが流れていて、「あれ、これ弾けそうだな」とふと思いました。
YouTubeで弾いてみた動画からコピーして、その場でゆっくり弾いてみました。
するとそれまで完全に無関心だった子どもが振り向いたのです。
「それ、あつ森の曲じゃん」と。
「ちょっと弾いてみたい」と言い出したので、その場で運指を教え、後で簡単なTAB譜を作って渡しました。
今は毎日、自分から練習しています。
きっかけは、自分の大好きなゲームの曲と結びついた、それだけのことでした。
「自分ごと」に変わる瞬間
子どもにとってギターは、ずっと「関係ないもの」でした。
お父さんが弾いていても、自分とは切り離された遠い世界の話として見ていたのだと思います。
それが「知っている曲」と出合った瞬間に変わりました。
自分の好きなゲームの音楽だとわかったことで、急に「これは自分の話だ」という接点ができたのです。
人が何かに動くとき、入口はほとんどの場合「自分がすでに知っているもの」との接触です。
そこで「自分ごと」と感じてもらえてはじめて、前のめりになります。
そしてTAB譜は、その先の未来を見せるものでした。
「弾けるようになった自分」を想像できたから、子どもは練習を始めました。
自分ごとと感じさせること、そしてその先の具体的な未来を見せること。
この2つが揃ったとき、人は動きます。
ウェブの設計と導線も、同じ話です
ウェブサイトを訪れた人も、最初は「これは自分には関係ないかもしれない」と感じていることがあります。
特に、扱うサービスが少し専門的だったり、表現がとっつきにくかったりする場合はそうです。
そういうページで大切なのは、訪問者がすでに抱えている悩みや状況に、言葉をつなげることです。
難しい説明の前に「あなたのこういう場面で使えます」と伝えると、読む理由が生まれます。
「うちのお客様はこんな状況でした」という具体的な例を先に見せるのも同じ効果があります。
そして、その先の未来を見せることも欠かせません。
「これを取り入れるとどうなるか」が具体的にイメージできると、問い合わせや購入に一歩近づきます。
TAB譜のような役割を、ページの構成や写真や言葉が担っています。
写真撮影の仕事で言えば、料理や商品の写真を「きれいに撮ります」と伝えるより、「こんな写真に変わりました」という実例を見せる方が動いてもらいやすいのはそのためです。
見た人が自分の商品を重ね合わせて「自分ごと」に感じてはじめて、相談しようという気持ちになります。
「うちのサービスは説明が難しくて」という声を耳にすることがあります。
そういう場合こそ、入口の言葉選びと、先の未来の見せ方を整えることが有効です。
ページの構成や文章の順序を少し変えるだけで、同じ内容でも伝わり方は大きく変わります。
導線を見直してみませんか
サイトに来てもらっているのに、なぜか問い合わせにつながらない。
そういうとき、訪問者に「自分ごと」と感じてもらえる設計ができていない可能性があります。
どのページで「これは自分の話だ」と思ってもらい、何を見せてから、どこへ案内するか。
この流れが整うと、同じアクセス数でも成果は変わってきます。
「まず現状のサイトがどんな状態か確認したい」というところからでも構いません。
表示の速さ、スマートフォンでの見え方、文章の順序、写真の使い方など、現状を一緒に整理して改善の優先順位を見つけるところから始められます。
難しいことを考える前に、まず一度話してみてください。